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《プチレッスン》第30回/正しいパディング8箇条

2023年4月12日掲載
 


 
たかがパディング。されどパディング。
 
皆さん、パディングはお好きでしょうか。
わたしは大好きです。
よく上絵付では、
筆で描かないといけない、
「ポンポン」をするのは邪道、
などと思われることもあるようですか、
わたし自身は、まったくそうは思いません。
 
白磁の上に描く、というのは特殊な状況なのです。
吸水しない面に筆で描くということは、
筆あとを生かした絵にならざるを得ません。
 
ある面を「ふんわり」と作りたい、
均一に、もしくはやわらかな濃淡をつけて、
などというときに、
洋絵具を使って筆だけで描いた場合は、筆あとが残ります。
 
筆あとを残したい絵柄や面ならいいのですが、
そうではないなら、
パディングをするのが一番の選択肢になるかと思います。
 
…………………………………………
 
さて、そのパディング。
ポンポンでたたけばいいんでしょ?
と思われるでしょうが、
本当にただそれだけでしょうか。
いつも、それできれいにできているでしょうか。
 
実際は、細かいポイントをクリアしないと、
意外にきれいな面は作りにくい、と思います。
 
わたしとしては、基本的には、
8つのポイントがあると思っています。
今回は、わたしが思う、
パディングがうまくいくその「8箇条」を、
ここで皆さまと確認したいと思います。
 
以下が8箇条になります。

1.やわらかいポンポンを作る
2.絵具の溶剤は遅乾性の油性溶剤を使う
3.固すぎずゆるすぎず、ほどよいやわらかさで溶く
4.筆で塗ってからたたく
5.ポンポンの真ん中だけを使う
6.常に垂直にたたく
7.圧はやさしく・変えずに
8.使いやすい絵具を選択する
 

…………………………………………
 
では順番に確認していきましょう。
 
●1〈やわらかいポンポンを作る〉
 

なんといっても、
これをうまく作らないと始まりません。
 
例えばパフなどの市販のスポンジを
使うこともできますが、
そういうものの場合
使ったら、中性洗剤などでよく洗って、
しっかり乾燥させてから保管する、
ということになるでしょう。
なかなか手間です。
 
そういった手間のこともありますし、
自分たちで作れると、
大小さまざまな大きさのものも作れるのが良いところです。
 
『ラップテープ』をまずは用意します。
とてもきめ細かな、薄いスポンジのロールです。
元々はテーピングなどに使う素材ですが、
これがとても便利。


中に詰めるものです。
こういった「手芸わた」を使用します。
手芸用品を扱うお店や、
100円ショップでも買えます。
以前は化粧用のコットンなどを
ほぐして使っていた時期もありますが、
うまくほぐしても、どうしても
ポンポンに「角」ができてしまい、
ふんわりした丸みが作りにくいのです。
 

ラップテープを適度な長さに切り、
二重にして使います。
1枚だと、たたいているうちに
詰め物の繊維が出てきてしまうこともあります。
これを「てるてる坊主」を作るようにまとめ、
マスキングテープなどで留めて使います。
 

そしてここがとても大事なところ。
ふんわりとやわらかい仕上がりにすることです。
「指で押したら沈み込む」くらい。
詰め物に固いものを使用したり、
詰めすぎたりすると、やわらかくなりません。
 
固いポンポンを使用した時点で、
もうパディングはうまくいきません。
それでたたいたら、わざわざ進んで
たたき跡を残しているようなものです。
固いポンポンでは、
面をなめらかに整えられないのです。
 

●2〈絵具の溶剤は遅乾性の油性溶剤を使う〉
 
速乾性の溶剤も、作りたい絵柄や面によっては、
使うこともあります。
ただ基本としては、
乾きの遅い、油性の溶剤を使うのが、
整える時間も作れて、
グラデーションのある面などを作りたいときも、
とても作業しやすいと思います。
ウツワトエツケでのおすすめは
やはり『ペインティングオイル』になります。
 
ただ、パディングした面を乾かしたいとき、
例えばその器を離れた窯のある場所まで
運ばないといけないときなどは、
『スーパーMXオイル』を使いましょう。
時間が経てばしっかり乾き、
パディング面も、触っても取れません。

 
●3〈すぎずゆるすぎず、ほどよいやわらかさで溶く〉
 
絵具の溶き具合も仕上がりに大きく作用します。
 
固いと、絵具の伸びが悪いので
均一に面を整えられません。
逆にゆるいと、ポンポンでたたいたときに
たたき目が残りやすいです。
スポンジの目が「つぶつぶ」になって
面に残ってしまいます。
仕上がりの肌理が粗かったら、
絵具がゆるかった証拠だと思います。
固すぎずゆるすぎず、
程よいやわらかさに溶くことは
とても大事なことです。

 
●4〈筆で塗ってからたたく〉
 
直接ポンポンに絵具をつけてたたくときもあります。
一気に濃くしたいときなどです。
ただ通常、面を作るなら、
やはり平筆などでその面を塗ってから、
その後で整える道具として、
ポンポンを使うのがいいと思います。
その際、ポンポンには絵具はつけません。
 
濃淡を作りたいときも、筆塗りでおおよそ、
仕上がりの7割くらいのイメージで
筆で絵具の厚みを塗り分けておくと、
イメージする面が作りやすいです。
また、たたくときは薄くしたい方からたたきましょう。

 
●5〈ポンポンの真ん中だけを使う〉
 

よくポンポンの横っちょなどで
たたいている方をお見かけすることがあります。
でも横にしてたたくと、
ポンポンのきれいな丸い面が当たらず、
横の「しわ」が当たったりしますので、
必ず常にポンポン真ん中の部分だけを使うようにします。
 
特に直接ポンポンに絵具をつけるときは大事です。
真ん中につけ、タイルの上で少し出して
濃さの具合を確認し、パディング面に持っていきます。
真ん中の面だけを軽くのせるようにたたきます。
 

●6〈常に垂直にたたく〉
 
これも5に通じるところはありますが、
「ポンポンの真ん中を使う=垂直に当てる」
とならざるを得ないのです。
 
まだ平らなお皿などはいいでしょうが、
カップなど曲面の場合、
意外と垂直に当たっていないことがあります。
そうするとたたいた場所により、
整い具合が変化してしまい、
全体が均一になりにくいのです。
 

●7〈圧はやさしく・変えずに〉
 
バシバシたたいてはいけません。
とにかくソフトに、やさしくたたきます。
「器の表面にお化粧を施してあげる」
そんな気持ちで、常に同じ圧で、
やさしくやさしく、丹念にたたきましょう。
その分、肌理が細かくなります。
 

●8〈使いやすい絵具を選択する〉


色によって、パディングしやすさに差があります。
パディングしやすい色を選ぶのもポイント。
白が多く入っているような色や、
黄色、もしくは黄色が多く入っているような色は、
パディングしてもきれいに整いやすく、
ムラも目立ちにくいのです。
 
例えば、ピンクの面にしたい時も、
『ローズワイン』『サクラ』などの、
パステル調のやわらかいピンクを使う。
紫の面にするときも、
『ラベンダーミスト』などの色を使う。
 
濃い青は難しいですが、
水色やミントに近い色は、
きれいに仕上げやすいですね。
『マカロンブルー』『ブルーソーダ』などは、
上品な色できれい。おすすめです。
 
でも、濃い色のパディングで
きれいに仕上げたい、という場合は、
一度で仕上げようと思わず、
2回目、もしくは3回目の焼成も使い、
重ねていけば無難に仕上がります。
 
例えば紺色、深い紫、黒など。
1回の焼成でもできないことはないですが、
ただ、一度で濃くしようという気持ちが強すぎると、
急に厚みのある箇所ができてしまい、
仕上がり後、そこから絵具が
剥離してくる可能性が高くなります。
濃いパディング面を作りたければ、
焦る気持ちを抑え、
焼成に回数を使うようにしましょう。
 
…………………………………………
 

いかがでしたでしょうか。
「パディングは簡単」
ということは基本的には間違いではないです。
しかしそれは、
条件が揃っていないとできないのです。
 
ポンポンは大小用意して、
作りたい面の広さによって
使い分けるといいでしょう。
その時々作ってもいいですし、
またあらかじめ作っておいて保管してもいいですが、
その際はホコリが入らないように、
必ず密閉できる袋や容器に入れておきます。
 
ホコリがついたポンポンを使うと、
絵具面にもホコリがついてしまいますので、
ポンポンの保管にも気を配るようにしましょう。

正しいパディングの仕方を押さえて、
これからもっと上絵付を楽しんでください。
(文/講師・江川)

 

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