ホーム  > ウツワトエツケのプチレッスン

《プチレッスン》第28回/絵具のつやを抑える方法について

2023年2月14日掲載
 


 
今回は、絵具のつやを抑える方法を紹介します。
絵付けをしていると絵具以外の材料として
多くの人が盛りとマットを持っているようです。
でも盛りに比べると
マットは使わずじまいにしていることが
多いように感じています。
あまり必要がないと思われるかもしれませんが
せっかくなので取り入れていただきたいと思い、
あらためてつやを抑える絵具の種類と使い方を
ご紹介いたします。

 
つやを抑える絵具には大きく分けて2種類あります。
単体で使えるものと
他の絵具に混ぜないと使えないものです。
 
単体で使えるものは『マット絵具』といって
ホワイトやピンク、ブルー、ブラックなど
色のついているものがあります。
きめが細かく、どちらかというと薄塗りで
器の地塗りなどによく使います。
 
単体では焼き付かない種類もあり、
これはあくまでも絵具の補助剤で
『つや消しマット』といいます。
焼成温度や塗り方は混ぜる絵具に合わせた
使い方をします。
マットな質感をどの程度にするかは
混色の割合が重要です。
 
それでは、個々の特徴をご説明いたします。
 

【マット絵具】
焼成後の質感はきめが細かくしっとりとした
滑らかさが特徴です。
厚塗りには不向きでそのぶん下地に色があったり
例えば下に絵が描いてあると透けて見えたり
色のついた器だと濁った色に見えます。
 
マットホワイトは絵具を混ぜて
好みの色を作ることができます。
しかし10%を超えると絵具のつやが出てくるため
多くは混ぜられません。
白さの残る色=パステル調の色に限定されます。

絵具のきめが細かいので筆づかいをいかした
このような表現にも向いています。
【大理石調模様の作例とその工程】
1.マットホワイトと混色(マットホワイトに
 ベルベットブラウン微量)800℃焼成
2.マットブラックで細くラインを入れる
3.マットブラックでロクロ線を入れて金彩
 (高温マット金19%)760℃焼成
 
ここで使っているマットブラック
他のマットシリーズと異なり
パステル調の色ではないことが特筆すべき点です。
後述の『つや消しマット』では作れない
きめの細かい美しいマットなブラックです。
※トップ画像の「酒杯」に使用
 
焼成については、若干温度に左右されます。
760℃ではつやがほとんど出ませんが
800℃では抑えたつやが出てきます。
これは使う電気炉によっても
差が出やすいところではありますが
適正温度を超えた820℃になるとつやが増します。



【つや消しマット】
もう一方の『つや消しマット』の特徴は
好みの色に混ぜることができて
マット感の強さを調整できます。
 
前述のマットシリーズの絵具は
もとの質感をそれ以上強くできないので
その点を比較して選ばれるとよいでしょう。
※混色の難しいマイセンレッドにも
 混ぜられます。


『つや消しマット』は絵具に対して10%程度加えると
絵具のつやが抑えられます。
30%ほど入れるとつやがまったく出なくなります。
もともと単体では焼き付かないので
器への定着は混ぜる絵具のフリットによる
ところが大きいことを考慮すると
混ぜる量が多くなれば剥離の心配が出てきます。
※今回のテストでは50%混ぜても剥離はせず
 こすっても取れませんでしたが
 これはあくまでも当社扱いの絵具に対して
 行ったテストなので、あらかじめご了承ください。


また暗い色(ブラックなど)に30%以上入れると
マットの粒子が白くみえるようになり始め
50%になると『つや消しマット』が白いこともあり
グレー調になり「黒」ではなくなります。
 
そのため、混ぜる絵具の色調やマットな質感の
双方の良さがでる割合は30%以内、
25%程度までといえると思います。
※用途によりますので、あくまでも目安です。


マットな質感は、つやのある絵具との対比でも
楽しめる素材です。
ぜひそれぞれの違いをいかして
作品づくりに取り入れてください。

-------------------------------------------------------- 


●追記●
よく出てくる混色の比率表現は
〇対△、何割、何パーセントという言い方で
重さで何グラムずつと表さない場合が多いです。
おそらくこれは、趣味の範囲内としての絵付けでは
正確にグラムで測るほどの必要性がないためだと思います。
実際に普段溶いている絵具1色は
0.1グラム程度かもしれません。
上の画像のようなキッチンスケールや昔懐かしい分銅測りでは
残念ながら正確に測れません。
 
絵付け用の絵具の質量は原材料の違いから
想像以上に種類によって異なります。
測るのが重量と容量では
混色結果がまったく違うものになってしまいます。


上の画像は混色の仕方の違いです。
絵付けでは外割りで表現されることが
多いように感じます。
例えば、ミキシングホワイトライトブルーの混色で
「20%のブルーを混ぜる」というと
内割りだと4:1
外割りだと5:1
という風に変わってきます。
 
特に今回のようなつやを抑える絵具を使った混色では
毎回違う「マット感」にならないよう
測り方もメモしておくとよいですね。
(文/講師・渡辺)

★★ 週2回、絵付け情報を配信しています!★★
新商品や講師によるおすすめ商品情報、
ちょっとした絵付けのテクニックなどを
盛り込んだ、お得なメールマガジン
〈ウツワトエツケ通信〉を週2回配信しています!
ご登録は無料ですので、ご希望の方は
下のバナーをクリック↓してご利用ください。

  • ショッピングガイド
  • メールマガジン
  • スクール
  • ギャラリーショップ
  • 絵具
  • 筆
  • オイル関連
  •    
  • 他の道具
  • テキスト関連
  • 白磁
  • 転写紙
  • セール
  • コラム
  • フリーレシピ
  • インスタグラム

カテゴリーから探す



インスタグラム

メールマガジン
【営業日カレンダー】
2024年3月
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
2024年4月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
定休日は土日祝日(ピンク色)です。

カテゴリーから探す