《プチレッスン》第32回/洋絵具で和陶絵付風に描く
2023年6月14日掲載
洋絵具しか持っていないけれど
和陶絵付の風合いで絵付けをしてみたいと
思ったことはありませんか。
今回は、和絵具を使わずに和風に描くための
お話をさせていただきます。
和絵具は、線描きなどに使用する
赤色や黒色以外の絵具で色を付けるのですが、
それを“色伏せ”と言います。
黒色で線描きをした上から
盛り上げるように色を乗せるため、
透明感がないと線が見えなくなってしまいます。
そのため、洋絵具に比べると
透明度が高い絵具となっています。
和陶絵付の雰囲気を出すには絵具の透明度を上げれば
より雰囲気が良くなると思います。
透明度を増すには『つや出しフラッキス』を混ぜます。
フラッキスとはガラスの粉末です。
焼成したら透明になり(完全な透明ではありません)、
定着も良く、盛りとしても使用できます。
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写真は今回使用した絵具の色見本です。
左からつや出しフラッキスと絵具を
10:1、1:1で混ぜたもの、右は単色です。
ポーセリングリーン
クロームグリーン
ライラックNo.1
ライトブルー
イエローブラウン
比べていただくと、単色の色に対して
つや出しフラッキスが混ざっている方が
透明度が増しているのがお判りいただけると思います。
西洋絵付のように筆で塗るようでしたら
1:1程度に混ぜていただければ
透明感のある仕上がりが得られます。
和陶絵付のように盛り上げて使いたい場合は
5:1〜10:1程度に混ぜていただくと
透明感のある色盛り絵具として使用する事ができます。
洋絵具だけで絵具を厚塗りすると
剥離の原因になりますのでご注意ください。
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絵具の準備ができたら制作していきましょう。
まずは線描きです。
今回は『ブラック』と『マイセンレッド』を
『水溶性メディウム速乾性』で溶いて、
面相筆を使い描きました。
ブラックは上から絵具を乗せるための線を、
マイセンレッドは赤単体で表現したいところを
描いています。
鉄系の絵具は混色が難しい絵具のため
混色や重ね塗りは極力避けます。
線描きをしたら色を付けていきます。
つや出しフラッキスと絵具を
1:1の割合で混ぜたものを
『ペインティングオイル』で溶いて、
平筆を使って絵付けをしました。
フラッキスが入っているので
薄塗りでもつやが出ますし、
厚塗りをしても剥離する可能性が少ないです。
最後にフラッキスを混ぜる時の注意点ですが、
鉄系の色は混ぜることができません。
今回線描きに使ったマイセンレッドなどの
赤茶けた色の赤のことです。
混ぜると赤の色が飛んでしまう可能性が高いので
混ぜないでください。
フラッキスを多めにして作った絵具で
色盛りをしても大丈夫ですが、
器によっては剥離する可能性がありますので
焼成実験をおすすめします。
絵具の透明度を上げて
和陶絵付の雰囲気の作品を制作してみてください。
(文/講師・柳田)
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