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《プチレッスン》第8回/入門・ペン描き道場

2021年5月18日掲載
 



前回こちらのコラムでは、
絵付けを始めるに当たって、
最低限まずはこれを用意しておきたい、
という道具についてのお話をいたしました。
 
ただ実は、
その中には入っていませんが、
わたし的にはそれ以外に、
必需品と言ってもいいくらい、
そこに入れたかったものがあります。
ペン先とペン軸。ペン描き用の道具です。
 
やはりまず絵を描きたいと思った時、
基本になる細い線を描きたいものです。
 
描きたい絵柄によりますが、
基本的に、白磁という素材に、
ペンで描く硬質な線は、
相性がいいと思っています。
 
筆で細い線を描くことのお話は以前いたしました。
もちろん筆でも細い線が描けます。
今申し上げましたように、
どちらを使うかはその時々です。
 
大まかに分けますと、
 
『抑揚があって、軟質な細さ』が筆で、
『均一で、硬質な細さ』がペン、
 
だと自分なりに分けて考えています。
 
筆は柔らかく強弱の差が出しやすく、
ペンはその逆ですが、硬めな分、安定しています。
 
やりやすさを考えても、
やはり筆で細く描くのには、
少し慣れが必要であるのに対し、
ペンの場合は、
ある程度のゆるさに絵具が溶ければ、
かなり高い確率で、きれいな、
細い線を描くことが出来ます。
 
そういう意味では、
とりあえず細い線を描きたい、という時には、
経験のあるなしに関わらず、
まず第一の選択肢としてペンがあっていいと思います。
 
筆で立派な絵を描くのは自信がないなあ…
という方でも、
ちょっとしたイラストなどを描いたり、
そもそも絵を描くこと自体は嫌いではない、
という方は、
かなりいらっしゃるのではないかと思います。
ペンだけで絵付けをするのも楽しいです。
 
私としては、そういう方々にこそ、
シンプルに、絵付けに親しんでもらい、
自分で描いた絵が、使える器になる楽しさを
どんどん味わっていただきたいと思っています。
 
そして、道具の用意も少しで済みます。
○ペン先
○ペン軸
○ペン描き用の溶剤
基本道具以外の主要なものはこれだけです。
しかもペン先は筆のように高価ではないですから、
安心して使えます。
 
ペン軸は、そのペン先に合わせたものがありますから、
それを用意すればいいですが、
もしとりあえず1つだけ、という場合は、
どのペン先でも使える共通軸
『フリーペン軸 T-36W』
を選んでいただければいいです。
 
大事なのがペン先と溶剤です。
 
特に溶剤は一番大事で、
これの選択と溶き具合によって
ほぼ決まると言っても過言ではないです。
ペン描きをしたことがあって、
描きにくい、と感じていたことがある方は、
まず溶剤を疑ってみた方がいいと思います。
 
当たり前ですが、
ペン先は、普通の文房具のペンなので、
絵具がサラリとした液状になっていないと、
きれいに先端から出てきてくれません。
ですので、それに見合った溶剤を使わないと、
ペンの線が伸びません。
 
今、当ショップでご用意している専用の溶剤ですと、
○不乾性の『ペンワークオイル』
○速乾性の『速乾性ペンワークオイル』
の2種類がありますので、どちらでも、
サラリと伸びやすいオイルにはなっておりますが、
長い時間絵具の質を変えずに描けるのは
『ペンワークオイル』の利点ですが、
もし私がどちらか一つ選ぶとしたら、
登場回数の多い速乾性の方でしょうか。
 
乾くことで、上から重ね描き出来る、
ということが一番の利点です。
線描きと色塗りが焼成を挟まず一度に出来る、
ということは大きなメリットです。
 
私個人は、元々は2液で描く、
というスタイルでした。
 
今あるオイルで言うと、
『スーパーMXオイル』で粉を練り、
『ルフランスパイクラベンダーオイル』で希釈する、
というものです。
これは実はすごく描きやすいのですが、
2液での調整具合があるのと、
(ただこれにより、筆でも描きやすい濃度に
出来る利点があるのですが)
この時はまだ1本で出来るオイルがなかったので、
『速乾性ペンワークオイル』が出来た今は、
やはり1つで済む方になるかと思います。
 
ここでは、差し当たって、
『速乾性ペンワークオイル』を
第一おすすめの溶剤として使って、
ペンの使い勝手、ペン先の違いによる描き味の差を、
動画で見てみたいと思います。

 
まず溶き具合と簡単な試し描きの様子です。
 


最後の方で、かなりサラリとした様子が
見て取れると思います。
 
試しにペン先に絵具を取り、5cmぐらい、
途切れなく引けるようでしたら
だいたい大丈夫かと思います。
ペンで線を引く際、
基本はとにかく、
 
◎焦らず、ゆっくりめ
◎同じ筆圧で
 
これを守ることです。

 


速く動かした時と少しゆっくりの時です。
これは極端ですが、ここまでではなくても、
少し気が急いてしまうと、知らず知らずの内に、
スッ、と速く動かしてしまい、
線が抜けて描けない、ということが起きます。

 

 
ペン先3種類です。
主には、左から〈太め〉〈中〉〈細め〉
と思っていただいていいですが、
それぞれ左から、
『Gペン先』『スクールペン先』『丸ペン先』
といいます。

 


先程試し描きでも使った『スクールペン先』です。
ペン先が硬めで、筆圧の個人差の影響を
受けにくいこと、
それなりに太めにも細めにも描けることから、
もし1つだけおすすめ、となれば、
私はこちらになります。
引いてくる速度は、基本普段からこれくらい、
と思ってください。
 
また、試し描きする時は必ず、強・中・弱と、
圧の差をつけて描いてみてください。
その時描きたい絵に合う、
お好みの線の太さを見つけましょう。

 


続きまして『丸ペン先』です。
画面ではそんなに大きな差は感じないと思いますが、
髪の毛のような細い線を描きたい、という時は、
こちらのペン先の選択でよいかと思います。

 


『Gペン先』です。
最初の圧強めの線がかなり太いですが、
このペン先は先端がやわらかいので、
圧がかかればパカっと開き、
太い線が出てきます。
でも弱めれば細くもなりますので、
特に線に変化をつけたい方には、
おすすめのペン先です。
 



試しに葉っぱを1枚描いてみました。
ペンで描くのに、得意なのは、
こういったギザギザの線などでしょうか。
また、止めた所にアクセントになるような
ドットが残りやすいので、
それを絵として生かすことも出来ますし、
それが残ってほしくない時は、
この葉脈のように、スーッと抜くような感じにします。
 

いかがでしょうか。
速乾性の溶剤などで描く時大事なのは、
少し乾いてくると、当然伸びなくなってくることです。
ですので、いい状態の時に、
なるべくたくさん描いてしまうのがいいのですが、
あとは、絵具が固くなったとき、ナイフで、
また同じオイルを入れて少しずつゆるめ、
ペン先についている少し固まってきた絵具を、
ペーパーで拭いてから描くと、
また描きやすくなります。
 
また、『水溶性メディウム速乾性』で練って、
水で希釈して描くことで、同様にペン描きが出来ます。
乾いてからペインティングオイルなどで練った絵具で
上から一緒に描いて焼けるのがとても便利なのですが、
これについてはまた、水溶性メディウムの扱い方を
このコーナーで取り上げたいと思いますので、
その機会に併せてお話し致します。
また、ペンに合う絵具や使い方続編なども、
近い内に取り上げたいと思います。
 
ペン描きは、とても楽しいですし、
初めての方でも扱いやすい良さもありますので、
是非多くの皆様に取り入れていただきたいですね。
(文・講師/江川)
 

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