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《プチレッスン》第20回/和絵具の効用
〜つや盛り感を味わう・「薄く盛り上げる」絵具〜

2022年6月12日掲載
 


 
上絵付という趣味の中で、
主に使われる絵具は〈洋絵具〉と呼ばれるもので、
ウツワトエツケでも、
○○ブルーとか○○グリーンのように、
カタカナの表記の絵具が主流になっています。
 
色数が多く、中間色も多彩で、
濃淡の表現がしやすい、
華やかな、彩りのある絵付けができます。
〈メインカラー〉というカテゴリーになっていますが、
まさに上絵付の主流の絵具と言えます。
 
それに対して〈和絵具〉と呼んでいる種類の
絵具もあります。
 
こちらは文字通り、和の色合いに調合された絵具で、
名前も漢字やひらがなのものになりますが、
それとともに、和の絵付けの特色でもある、
透明感を重視したタイプの絵具になっています。
 
洋絵具のような色数の多さや、
濃淡表現のしやすさはないですが、
その分、ふっくらした色ガラスのような仕上がりと、
下地に描いた線を活かした表現ができる透明感が
洋絵具にない良い所です。
 
〈ジュエル絵具〉という種類の絵具もあります。
こちらは和絵具以上に透明感の強い
盛り上げて良さが出る絵具ですが、
盛り上げる高さが、透明度が高い分
ジュエルの方がより高さを必要とし、
「絵具」ではあるのですが、
より「盛り」に近づいた感じです。
 
和絵具は、洋絵具とジュエルの中間のような感じ、
と言いましょうか。
この種類だけで絵も描ければ、
色盛りのような表現も可能、という絵具です。
 
その透明感のある素材ゆえ、
基本的に、絵具ののせ方が洋絵具とは違います。
 
使う溶剤でおすすめなのは、
『水溶性メディウム速乾性』です。
 

 
基本的に、ある程度盛り上げたいもの、であれば、
早く乾くタイプの溶剤を使わないといけません。
盛り上げて高さを作りたいのに、
溶剤が乾かないものを使っていると、
時間が経ってきたときに、
盛り上げた絵具が「だれて」しまいます。
 
他の、乾くタイプのオイル系のものも使えますが、
水でゆるめられた方が、絵具の伸びや
キレもよく、乾きも早いので、
一度作った形がより崩れにくくなります。
 
和絵具の中では『朱赤』『九谷赤』などの赤絵具は、
線描きなどが主な用途なので、
水溶性メディウムで練って、
水で少しずつゆるめて描くのが、
伸びが良く、細い線描きに向いています。
 
赤絵具は盛り上げないタイプの絵具で、
洋絵具のように、厚塗りすると
剥がれる可能性がありますが、それ以外の和絵具は、
基本的にやや盛り上げて使うのが
本来の良さを出せるのせ方です。
昔からの和絵具のことを
「玉釉(たまぐすり)」と呼ぶように、
まさに玉のような仕上がりになるのが良いところです。
 
以上のようなことから、総合的に、
盛り上げるにしても、線描きをするにしても、
水溶性メディウム速乾性が、
和絵具では使いやすい溶剤になります。
 
……………………………………

和絵具をのせることを、
和の絵付けの表現では〈色伏せ〉と言います。
主に線を描いた上に「伏せる」もの、
という意味から来た言い方です。
 
線を〈骨描き(こつがき)〉と言います。
〈骨描き〉して〈色伏せ〉をする。
これが和絵具の基本的な作業になります。
 
色伏せは、いわゆる「筆で塗る」という感覚とは、
少し作業の質が違います。
含みのある筆に取った絵具を、いかに
【均一に・筆あとなく・程よい厚みで】
のせられるか、ということが
色伏せの目指す所になります。
 
この色伏せをするのに、
非常に大事なのが絵具の練り具合です。
絵具の練り具合、ということに関しては、
全ての絵具について言えることではありますが、
特にこういった「盛り上げる」という作業になれば、
より、練り具合に「ちょうど良さ」が求められます。
 
今日は動画で、絵具を練って、水で希釈する、
この大事な流れを確認しましょう。




まずはメディウムで練る固さです。
よく「マヨネーズ」や「はちみつ」と例えられますが、
ナイフで1つの山にまとめた時に、
全体的につややかな丘状で、ナイフをはずしても、
崩れずピタッと止まってくれているくらいの固さです。
あまり良くない状態として、メディウムを多めにして、
この時点でかなりトロッとしてしまっている
ケースがよく見られます。
 
ここで必要以上にゆるめてしまうと、
焼成後に縮れるというトラブルが多くなります。
かといって、あまり硬くても、
この後水でゆるめた時の「とろみ」が
足りなくなってしまいます。
 
何事も塩梅と言いますか、
やはり程よいゆるめ加減が非常に大事です。




そしてここにしっかりと水を加えます。
この水の量がよりポイントです。 
 
基本的には、今度は集めた絵具の山が、
山にしようと思っても、ナイフをはずすと、
崩れていってしまうくらいの固さです。
かなり、サラサラに近い、
少しだけとろみが残っている程度です。




面相筆に取ります。
絵具の含みがよく、毛量があるので、
色伏せの作業をするときは、面相筆はおすすめです。
ここではスタンダードな
『面相筆(黒狸)小』を使っています。



しっかり含ませ、筆を立てて、
筆先がついたら、わざわざ筆先を押さなくても、
絵具が自然に出てくるくらいのゆるさが必要です。
 
タイルの上で状態を確認したら、
作品の方に持っていき、まず同様に筆先から絵具を出し、
出てきた絵具の上っ面を、
筆先を小刻みに左右に動かしながら
目指している面の形に、絵具を押し広げます。
 
少し盛り上がりのある水たまりを
作っているような感じです。



〈メディウム=とろみ成分〉
〈水=さらさら成分〉
 
この組み合わせがちょうどいいと、
仕上がりも、筆跡なく大変きれいいになります。
 
うまく色伏せできているときというのは、
絵具を広げるのに全く苦労せず、
サラサラと押し広げられる感じです。
焼き上がりも、筆あとのない、
つるりとした色ガラスが貼り付いた
感じに仕上がります。
 
逆に「塗りつぶさないと〜」と思いながら
作業しないと面が埋まらないときは、
絵具が硬いというときで、この状態で焼いてしまうと、
いかにも塗りつぶしました、というような、
筆あとの残った面に焼き上がってしまいます。





上の画像のように混色もできます。
(※赤は混ぜると濁りますので、
混色は赤以外の色を使います)
色数はそこまで多くないものの、
混ぜながら中間色を表現するとかなり幅が広がります。
 
また、この和絵具のように、
ある程度盛り上げるという絵具は、
剥離のトラブルは0とは言いませんが、
メーカーさんの技術力で、
剥離の可能性はかなり低くなっており、
わたしも長い間使っている絵具ですが、
この絵具を使っていて焼成後絵具が剥げ落ちた、
という場面には遭遇していません。
焼き上がりの失敗も少ない絵具で、
非常に安心度の高い絵具と言っていいと思います。
 
洋絵具で通常の上絵付をして、
その絵の中に併せて使うのも、
つや盛りのアクセントがつけられておすすめです。
(文/講師・江川)


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