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《プチレッスン》第39回/水溶性メディウムの使い方

2024年6月14日掲載
 


 
なぜ水溶性メディウムか
 
絵具を練る溶剤は、
大きく分ければ「水か油」
つまり「水溶性」か「油性」
の2種類になります。
 
上絵付の趣味では、基本的に
使われることの多い溶剤が
「オイル=油性」。
とても滑らかで伸びがよく、
濃淡の塗り分けもしやすい
上絵付に向いた溶剤です。
 
オイルだけあればそれで、
絵付けは全てできそうですが
しかしそこで、あえて
オイルではなく「水=水溶性」
を使う利点は何なのでしょう。
 
…………………………………………
 
「水=水溶性」を使うことには
以下のような利点があります。
 
○サラッとした伸びの良さ
 =線描きに向いている
○筆でもペンでも描ける
○とても速く乾く(速乾性の場合)
○オイルとの重ね描きができる
○盛り上げにも使える
○筆を水で洗える(※)
 
加えて、それぞれのオイルには
特有の匂いや揮発性などがあり
人によっては、それらが
体質的に受け入れられない
という場合もありえます。
 
その点でも「水=水溶性」は
そういった影響がほぼない、
人にも優しい溶剤でもあるので、
絵付けをされる方の中には、
必然的にその選択肢しかない、
という方もいらっしゃいます。
 
(※筆を洗った水は、
なるべくそのまま捨てずに、
上澄の水以外は、
紙で拭き取るなどして
捨てるようにします)

…………………………………………
 


線描きに使う
 
水で希釈する良さの一つは
すっきりとキレのよい線が
描きやすくなることです。
 
オイルにも、水のように描ける
希釈用の種類がありますが、
水のサラッとした伸びは
やはり他には変えられません。

…………………………………………


(※画像は
〈ウツワトエツケ・ギャラリーショップ〉
で販売中の松山講師作
『赤絵金彩花と小紋菊皿21cm』
になります)
 
ここでは主に
『水溶性メディウム速乾性』
を使います。
水溶性メディウムには
遅乾性のものもありますが
多くの水溶性の利点は、
速くしっかり乾くことで
その良さが出せるからです。
 
筆で線描きする際は、
絵具をトロッとした
ハチミツに近い状態に練り、
筆先に含ませた水分で、
絵具をゆるませながら
絵柄や描く人の好みに合わせて
ほどよくゆるませて描きます。
筆は面相筆、ライナー筆
などが線描きに向いています。
 
速乾性で描いた線は
非常に速く乾き、その後は
指で触っても取れません。
 
例えば赤絵のような
とても繊細な線描きは、
緻密な線の1本ずつが
乾けば線も崩れないので、
続きの作業も安心して行え、
文様の線も崩れず
シャープさを保てます。

…………………………………………
 


ペンでも線描きができます。
安定した細い線を描くのに、
ペンは使いやすい道具です。
 
筆の時と同様に絵具を溶き、
そこから少しずつ水を加え、
液状になるまで希釈します。
 
ペンワークには、描きやすい
専用のオイルがありますが
『速乾性ペンワークオイル』
『ペンワークオイル(※不乾性)』など)
水溶性メディウムでも
メディウムのとろみと水の
バランスがいい状態だと、
ペンも描きやすいのです。
 
水溶性でのペン描きについては
以前に取り上げたプチレッスンを
ご確認ください。
 
《プチレッスン》第25回/水溶性メディウムでペン描き道場
https://utsuwatoetsuke.shop/?mode=f107
 
筆でもペンでも水での線描きは
シャープな描き味に加えて、
線が乾いたら、
オイルで練った絵具で
焼成を挟まずすぐに色を塗り、
一度で絵を仕上げられるのが
大きな利点です。
 
水で描いて乾いた線は、
オイルで練った絵具で
上から塗っても
消えることがありません。
とても便利な手法です。
 
…………………………………………
 


盛りに使う
 
水溶性メディウム速乾性は
盛り上げに使うこともできます。
 
〈和絵具〉〈ジュエル絵具〉
などの「盛り絵具」や
『色盛り絵具 低鉛』などの
盛り上げ素材を使う際にも、
効果的であり、かつ
水で希釈や筆洗いができることで
作業もしやすくなります。
盛り上げ用には、
『レリーフオイル』という、
盛り専用のオイルもあります。
ただ少し匂いが強いのと、
希釈や筆洗いに、
別に新たな溶剤が必要になります。
その点、他の用途でも使える
水溶性メディウム速乾性は、
選択の第1候補になります。
 
こちらも線描き時と同様に
ハチミツ状に練った絵具に、
水を少しずつ加え、
適度なやわらかさに整えたら、
面相筆などに含ませ、
器の上にぽってりと
ドーム状に盛り上げて使います。
 
盛り上げの作業は、
速く乾くことが前提です。
乾かないと、盛り上げた絵具が
その高さを保てないからです。
 
…………………………………………
 


乾きの遅いタイプも使えます
 
乾きの遅いタイプ、
『水溶性メディウム遅乾性』
ですが、
こちらは、正確には
描いて少し時間が経てば
表面的には乾きます。
しかし速乾性タイプのように、
手で触っても取れないくらい
しっかり固く乾く、
というものではありません。
ですので、重ね描きや、
盛り上げの作業などには
向いていません。
 
ただし、
速乾性に加えることで
乾きを遅らせて、
作業をしやすくするという
効果などがあります。
 
また単体でも、筆の線描きや
ストロークで絵を描く際には
さらっとして描きやすいので
筆圧の強くない方向きでもあり、
時間がかかる作業や
途中で中座してしまう作業
などの際にも
おすすめできる溶剤です。
 
しっかり乾かさなくてもいい
という絵付けにはぜひ
お試しいただきたいと思います。
 
…………………………………………
 


水溶性メディウム速乾性で
 注意をしたいこと
 
水溶性メディウム速乾性は
どの使用状況においても、
多かれ少なかれ
水を加えて使うのが基本ですが、
速乾性メディウムは
粘性が強いため、
少しメディウムの量が多くなり、
かつ希釈する水が少ない時など、
焼き上がるとその部分の絵具が
縮れてしまうことがあります。
 
画像は焼成後のもので、
描いている時は普通の線でしたが
焼き上がると画像のように
絵具が縮れてしまい、
「絵具がなくなってしまった」
と錯覚してしまうような
仕上がりになってしまいました。
多分上記のようなことが
原因となったかと思われます。
 
絵具を溶く際には
必要以上にトロトロに
緩めすぎないように、
注意をしましょう。
 
…………………………………………
 
いかがでしたでしょうか。
 
筆でもペンでも描けて、
盛り上げもできて、
乾けば重ね描きもできる、
筆洗いも楽な
水溶性メディウム。
 
特に広い面積を塗る際には
オイルで描くのは有効ですが、
線描き、盛り、重ね描きには
オイルとの組み合わせも含め
水溶性が効果的です。
 
ぜひ「油と水」
両方の利点を取り入れて
より絵付けを自由に
楽しんでください。
(文/講師・江川)

 

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