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《プチレッスン》第35回/真っ赤な絵具の扱い方

2023年9月13日掲載
 


 
これからクリスマスシーズンが近づいてくると、
急に需要が増す絵具があります。
そう、真っ赤な色です。

ウツワトエツケでは、もう名前もそのものの、
『クリスマスレッド』という絵具があります。
 
でもこの色、うまく焼けると確かに、
サンタさんの着ている服のような真っ赤な色になるのですが、
どうもなかなかきれいに焼き上がらない、
と感じる方も多いのではないでしょうか。
 
実はこの絵具の扱い方には、いくつか、
ちょっとしたコツのようなものがあり、
そこを押さえておかないと、
きれいに仕上がりにくいのです。
 
クリスマスシーズンがやってくる前に、
この真っ赤に焼き上がる絵具の扱い方を
改めて確認しておきましょう。
 
…………………………………………
 

(※画像の中央、ベリーレッドは現在廃盤色になります)
 
結論から先にいきますと、
押さえておきたい大事なポイントは、
 
1. 均一に適切な厚みに塗る
2. 混色をしない
3.(可能なら)760℃程度の低温で焼成する
 
この3点になります。
 
…………………………………………
 
まず1の点について。
 
赤やレッド、と言っても実は大まかに言うと2種類あります。
 
例えばウツワトエツケの絵具で
クリスマスレッド以外に、
いわゆる赤い色に仕上がるものとしては、
『マイセンレッド』
『ヴァイオレットオブアイアン』
〈和絵具〉では、
『九谷赤』
『朱赤』
などがあります。
 
これらの色は、いわゆる「真っ赤」にはならず、
朱色っぽい赤や、少し赤黒い、血の色のような、
赤サビのような色になるものになります。
名前もその通りですが、
色を出すための主原料は、主に鉄になります。
ですので、わたしたちはこれらの赤い絵具を
「鉄系」と呼んでおります。
 
それに対して、クリスマスレッドは
セレン化合物などがこの色を出す主原料で、
「セレン系」と呼んでいまして、
おもにこの2つがいわゆる赤の種類になります。
 
これら鉄系の赤と
セレン系のクリスマスレッドが最も違う点として、
 
《薄塗りしても色が出るか出ないか》
 
ということが言えます。
 
画像一番下のマイセンレッドは、
濃い方から薄い方にかけて、
赤のグラデーションが
なだらかにきれいに出ていますが、
上段のクリスマスレッドは、
薄くなっている部分が、
なだらかに薄くはならず、
半分くらいのところから、
急に白くなってしまっています。
 
鉄系の赤は濃い色から薄い色まで
グラデーションがきれいに出せますが、
セレン系の赤は薄い色を表現できません。
ではどうするのがいいのかというと、
薄い色が出ないということは、
濃くしないときれいな赤にならない
ということになりますので、
一番右上のマスのように、
均一にしっかり濃いめに塗る、
ということになります。
 


※クリスマスレッドを入れたところ。焼成前。
 

※仕上がり
 


※クリスマスレッドを入れたところ。焼成前。
 

※仕上がり
 
ここでは、ともに真っ赤な、
鳥(カーディナル)とバラを描いています。
いずれも、最初の赤をマスキングして作っています。
全面を均一に濃く塗り、スポンジなどでパディングをして、
焼き上がった上から『ブラック』などで線や濃淡を入れます。

 

※焼成前


※仕上がり
 
全体を引いて見た状態です。
右下の苺タルトや、左下のバラのつぼみも同様です。
(※他のアイテムはピンクや赤紫系の色で描いています。
バラの下の鳥の羽は鉄系のマイセンレッドです)



※第1焼成(サンプル)


※仕上がり
 
クリスマスの定番、ポインセチアです。
こちらも同じ手法です。
 
最初は赤面だけを作り、2回目の焼成で、
やはり『ブラック』などで色を足して仕上げます。

…………………………………………
 
2の〈混色をしないこと〉ですが、
以前のこちらのコラム
「プチレッスン」でも触れられていますので、
こちらも併せてお読みいただければと思います。
 
◎《プチレッスン》第22回
/混色が難しい色について〜鉄系の絵具編〜
こちら→ https://utsuwatoetsuke.shop/?mode=f87
 
鉄系の絵具もそうですが、
セレン系の赤もやはり、混色は難しい色になります。
 
わたしたちもとりあえず、
混ぜないで使うことをおすすめします、と、
普段から生徒の皆さまにもお伝えしております。
 
しかし、
これはわたしたちもたまにやってしまう失敗なのですが、
色を混ぜた覚えはないのに、
なぜか仕上がりの赤が黒ずんだり、
濁るような感じになることがあるのです。
 
これは実は、筆がきれいに洗えていなかった
というのが原因になります。
洗ったつもりが、洗い切れておらず、
筆の毛の根元などに残っていることが多いのです。
 
赤い色を使う際は、筆に、
前に使った色が残っていないように、
筆をあらためて洗ってから使う、
ということも必要かもしれません。
 
また3の焼成温度についてですが、
こういった赤は低めに焼く方が、
色が飛ばず、より無難に色を出しやすいので、
基本的には760℃程度が適温、となっております。
 
ただ、作品として仕上げる際は、
どうしても他の色も一緒に焼きたい、または、
赤を入れた後で、さらに他の絵も含め色を重ねたい、
というケースが多々あります。
 
そうすると、少し高め、
いわゆる普通の上絵付の適温、
800℃〜820℃で焼くことになります。
わたしの今までの経験では、
温度は多少高くても、
一番は1の均一に適切な厚みに塗る
というところが一番大事なことで、そこができていれば、
だいたいきれいな赤が出せます。
 
…………………………………………


ちなみに、真っ赤な色には緑が似合います。
赤と緑は補色という関係になり、
どちらもお互いを引き立てる役割になります。
おすすめの緑は、上の作品を含め、
今回すべての作品画像で使用している緑、
『ホーリーグリーン』
緑も、いかにもクリスマスに似合いそうな名前ですね。
ぜひクリスマスレッドと併せてお使いください。
 
真っ赤な色を使いこなして、今年はぜひ、
オリジナルのクリスマス作品を描いてみましょう。
(文/講師・江川)

 

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